10人に1人が発達障害?発達障害の子どもってどんな子?
「発達障害」という言葉がだいぶ身近なものになってきていますが、
その内容や特徴については、よくわからない方がまだまだ多いのではないでしょうか。
- あの子はいつも勝手な行動をしている
- いつも一人でウロウロしている
- すぐに教室からいなくなってしまう
- いつも先生を困らせている
- すぐにお友達を叩いたり、揉め事を起こす
- 友達のものを勝手に使って持っていってしまう
- 指示通りに動けない
「なんであの子って、普通にできないんだろう」
誰かのことをそんな風に思ったことはありませんか?
「発達障害」というのは、今は正式には「神経発達症群」といいます。
『神経発達』といわれるように、
胎児や生まれてからの成長段階において、超複雑な脳神経の繋がりの部分的なアンバランスさが生じている状態であり、親のしつけや育て方によるものでは決してないということなのです。
『神経発達症群(発達障害)』とは、
脳神経の繋がりのアンバランスさによって、集団生活や人とのかかわりに問題が生じたり、
状況がうまく理解出来なかったり、色々な感覚の敏感さや鈍さをもっていたり、
さまざまな場面で困難が起こることをいいます。
ここに注意
「困った子だから発達障害」
この認識は非常に危険です!
発達障害や成長に凸凹がある子どもたちは、
本人たちがその特徴から1番困っているのです。
なので、周りの人たちは出来ないことを責めるのではなく、その子の特徴を理解したうえで、その子に合ったサポートをしてあげることが大切になります。
発達障害の子どもって、どのくらいいるの?
2012年に文部科学省により「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」が発表されました。
この調査によると「学習面又は行動面で著しい困難を示す生徒」は6.5%でした。
これは、通常学級30人クラスに2人程度にあたる人数です。
しかし、この調査はあくまで学校の先生から見た数字であり、医者の診断ではありません。
また「著しい困難」とあるようにはっきりとわかる特徴を示している生徒が6.5%だったということになります。
そして、特別支援学級や特別支援学校に通っている生徒は、調査の対象となっていません。
つまり、発達障害を抱えている子どもの数は6.5%よりもかなり多い可能性が高いということになります。
近年では、発達障害の特徴を持った子どもは10人に1人以上いるとも言われています。
そして、男子の比率が高く、男子の発達障害は女子の5倍というデータもあります。
発達障害の種類とは?
神経発達障群(発達障害)の中にも色々なタイプがあります。
大きな分類として、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習障害(SLD)があります。
ここで気を付けなければいけないことは、発達障害というのは「スペクトラム」であるということです。
つまり、一人一人の性格が違うように、一人一人の発達障害の特徴は異なっており、色々な要素を併せ持っているということなのです。
「ADHDだからこういう子」と一言で説明することはできません。
「ADHD」と診断されている子どもがいた場合・・・
それは「ADHDの傾向が一番強い」という意味で、他の特徴も併せ持っている可能性がある。と考える必要があるのです。
これは普通の子でも、一人一人個性があり、色々な一面を持っているのと同じことなのです。
発達障害の子どもとどうやって関わったらいいの?
幼稚園、保育園、学校の先生、習い事の先生など、子どもと身近に触れ合う機会の多い方は、こういう特徴のある子どもに出会うことが度々あるのではないでしょうか。
そのたびに、どうしたらいいんだろう?と悩んだり、他の子ども達に影響があるのでは?と困ったりすると思います。
目の前で起きている問題に「行き当たりばったり」で対応していても、
「ちゃんとできるように指導しないと」と熱を込めて厳しく指導しても、
ほとんど知識がないままでは、あなたの頑張りは伝わらず、いつまでも追いかけっこのような状態が続いてしまいます。
子どもが理解できなければ、また、本当に子どものためになることでなければ、いつまでもことを繰り返してしまうのです。
- どんな発達の特徴があるのか
- どんなことが苦手なのか
- どこまでならできるのか
- どういう環境が向いているのか
- どのような伝え方なら伝わるのか
- 何に興味があるのか、得意なのか
- どんな能力を伸ばしたらいいのか
発達障害の子どもと関わるためには、これらのことを理解し、一人一人に合った関わり方を探すことが大切なのです。
まずは発達障害について、正しく学ぶことから始めることが大切でしょう。
発達障害だからこそ褒めて育てる
神経発達症群(発達障害)の子どもは、人とのコミュニケーションに苦手をもっている子どもが多いので、どうしてもトラブルが多く、怒られる場面が多くなってしまいます。
「本人が悪いことをするんだから、怒られてもしょうがない。」
そんな風に考えているとしたら、それは危険です!
脳神経の問題でうまく出来ない、わからないだけであって、
悪いことをしている自覚が全くないかもしれません。
何回怒られても、何が悪かったのか学習できていないかもしれません。
その子が理解できるように教えてあげ、トラブルが起きにくい環境を作ってあげましょう。
そして、『できたことを褒めて育てる』ことは、全ての子どもに共通して大切なことです。
自信をどんどん高めてあげることで、本人の中にやる気がおきます。
「自分を肯定的に見てくれる大人がいる!」と思えることで、苦手なことに対してもがんばれるようになるんです。
注意ポイント
発達障害の子どもは、怒られているときにコチラの望む反応を示さないことがあります。
そのため、「聞いていない」「何を言ってもどうせ分からない」と誤解され、強い言葉で怒られてしまうことが多くあるのです。
しかし、反応を示さないからと言って、言葉を理解していないわけではないのです。
表情や態度に出ないだけで、心は十分に傷ついているのです。
これらの経験により、自己肯定感の低下や、不登校などの二次障害が生じる場合があるため、支援者は関わり方に注意する必要があります。
発達障害のことをもっと知りたい!
保護者、教師、講師、保育士、看護師、栄養士、カウンセラー、セラピストなど、
人を育てる・支える方は、神経発達症群(発達障害)について正しく理解することで、
子どもの周りで起きている問題を正しく理解し、困惑することなく対応できるようになります。
大人になるまで気づかれないまま過ごし、大人になってから発達障害が分かる方もいます。
少しでも早く気づいてあげることで、今まで生きにくさに苦しんでいた人が救われることも多いのです。
また、夫婦関係で悩んでいる方が、相手の発達障害が分かって対処することで、夫婦関係が劇的に改善することはよくある話です。
日本メンタルコーチング学院では『子ども発達インストラクター講座』を毎月開催しています。
タイトルは「こども発達インストラクター」ですが、学びとしては大人の発達障害の話も網羅しています。
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